藍先輩の危険な溺愛レッスン。
藍先輩たらお店の前でこうして考え込んでいられたら他のお客さんの邪魔になっちゃうんだけどな。


「まあいいじゃないの。藍くんゆっくり選んでね」


調理の手を止めてフフっと優しく笑いながらそう言ったのはうちの母。


明るくて人懐っこい母は藍先輩とは気が合うみたい。


彼が来るとおしゃべりしたい母はすぐに手を止めてしまうんだ。


もう、お母さんたら相変わらずイケメンに甘いんだから。


「藍くん、良かったらお弁当をお部屋まで届けてあげるわよ」


「え、いいの?」


「いいのいいの、決まったら愛菜の携帯にでも連絡して」


突然母がそんな提案をしだすのでびっくりした。


え、それってもしかして私に彼の部屋まで届けろってこと?

「春美さん、ありがとう」


ちなみに、藍先輩は母のことを親しみをこめて名前で呼んでいる。


「愛菜がお部屋までもっていくわね」
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