春、君に別れを告げた
「スヒョンは、高校卒業したら韓国へ帰っちゃうんだよね?」

未来が訊ね、スヒョンは「うん」と頷く。胸が穴が空いたみたいに虚しくて、寂しい。

スヒョンは高校を卒業した後は、家族と韓国に帰ることが高校三年生の夏に決まった。韓国の大学に入学するつもりだ。

好きな人とこうして話すことができなくなる、それがスヒョンにとって寂しかった。しかし、それ以上に苦しいことがある。それはーーー。

「私と大(だい)ちゃんさ、韓国に行ってみたいねって話してて。いつになるかわからないけど、お金を貯めたら行きたいなぁって思ってるんだ。韓国に行った時は、観光案内とかしてくれない?」

ジッと見つめられ、スヒョンは「いいよ」と傷付きながら返事をする。ズキズキと胸が痛んだ。

スヒョンの恋は実ることはない。愛おしく想う未来には、すでに恋人がいるからだ。



未来は、まるで春の日差しのように優しい人だ。そして美しい。出会ってすぐ、スヒョンはそう思った。
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