運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「悟、早い」
後ろから聞こえた声に悟は慌てて振り返る。

「綾乃、車で待ってろって言っただろ?」
「だめ。私も来たかったんだもん。」
悟は急いできた道を引き返すように、綾乃の方へ近付く。
「ならはじめから一緒に来ればよかっただろ?」
「絶対にダメっていうでしょ?強行突破。」
そう言って笑う綾乃。

その笑顔を見るだけで、当たり前じゃない幸せをかみしめる。

綾乃は命を失ってから、心の病気と真剣に向き合った。

少しずつ表情も戻り、突発性難聴もほぼ治っている。
時々精神的に不安定になると、耳に出やすいくらいで生活に支障はない。
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