愛しても、いいですか
ひっく、ひっく…
子供のように泣きじゃくる。
初めて大石さんの前で加賀美さんを想って泣いたあの時よりも、それはそれはひどい泣き方だった。

こんな所で子供のように泣きじゃくる私を、大石さんはただただ抱き締めて頭を撫でてくれる。
まばらに通り過ぎる人達が好奇の視線を向けて来ても、動じることはない。

「廣瀬さんがね、教えてくれたんだ」

少しだけ私の気持ちが落ち着いた頃、大石さんが話してくれた。

「会場を出る俺を捕まえて、切羽詰まった様子で…

『総務部の廣瀬 由紀です、沙耶香から事情は全て聞いています、沙耶香が1人で帰っちゃったんです!2人で結構飲んだからかなり酔っ払ってると思うのに、1人で大丈夫だからって!それでも一緒に帰るつもりでいたらはぐれちゃって…!』

泣きそうになりながら必死に教えてくれて、それ聞いて俺慌てて追いかけた」
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