愛しても、いいですか
「少し頭が痛いけど、大丈夫です」

「そっか、なら良かった。今日は家事するのしんどいと思って林さんお願いしといたけど、良かったかな?」

「…助かります…」

当初の予定通り土日は家事をするようにしていたけど、さすがに今日はしんどいと思っていたから大石さんの配慮がありがたい。

おいで、と大石さんが自分の座っているソファーの横をポン、とした。

おずおずとソファーまで進んですとん、と隣に腰を下ろした。
そしてくるっと大石さんの方を向き、ペコッと頭を下げて、

「昨日は脱がせてなんて変なこと言ってすみませんでした…!」

と勢いよく謝った。

ぶっ!と大石さんはたった今口に含んだばかりのコーヒーを、冗談じゃなく文字通り吹き出した。

「…さっ、沙耶香ちゃん…!」

顔を赤くして溢れたコーヒーを慌ててティッシュで拭く大石さん。

「…記憶、あったんだ…」

「いや、朝起きてなぜ自分の部屋できちんと部屋着に着替えて寝ているんだろう、と昨日のことを順番に思い返していたら、思い出してしまいました…」

顔から火が出そうだ…手でパタパタ扇いで何とか冷まそうと試みる。
< 85 / 184 >

この作品をシェア

pagetop