失恋つづきの少女は神様とかくりよを救う!
(1)
「君が好きだ。僕と付き合って欲しい」
そう言ったのは、私が好きな人。そう言われたのは、涼音さん。
何時だって私の恋は実らない。
(あーあ、どうしてこんなに恋が実らないんだろう。私、前世で何か悪いことでもしたのかしら……)
そう思った帰り道。ふと道端を見ると、古ぼけた祠が立っていた。
こんな小さな祠に願ってもご利益はなさそうだけど、と思いつつ、藁にもすがる気持ちで祠に手を合わせる。
(次の恋こそ実りますように!)
すると目を開けた紫月の目の前には、この世の物とも思えない程美しい青年が立っていた。
誰だろう、そう思った紫月に青年はいきなりその場で土下座した。
「申し訳ありません!」

(2)
現れた青年、弧之善は自分のことを神だと言った。
「貴女が生まれた時、私は下界を散歩して居ました。丁度貴女が産声を上げて、私は貴女の魂の美しさと命の力強さに感動したのです。その時から貴女だけを想ってきました」
「ちょっと待って? 神様に愛されたのなら、どうして私は失恋ばかりなの?」
問う紫月に弧之善は申し訳なさそうに言う。
「それは私が貴女の恋路を邪魔してしまったからです。貴女をとられたくなくて、貴女の恋の邪魔してしまいました」
「なんですって!? そんなこと神様がしても良いと思ってるの!?」
怒りに口を開くと、瑛が口を開いた
「その代わり、君は大病にも大けがにも見舞われなかっただろう? 家族、友人関係は良好。これは弧之善様のおかげだと思わない?」

(3)
弧之善とお試しでお付き合いをすることになった。
自分の恋いが実らなかった原因で、本来なら憎くて堪らないはずなのに、まず顔が良い。そして紫月のことを生まれた時から想っていると言うだけあって、紫月のことをこれでもかというほど甘やかしてくれる。
贈り物は言うに及ばず、デェトでのエスコート振りも様になっている。弧之善と一緒に街を歩いていると、必ず女性が振り返る。そんないい男にエスコートされて歩くのは気分が良かった。
ある日。
「紫月ちゃん」
弧之善と歩いててばったり会ったのは、涼音とこの前まで好きだった人だ。
目の前でこの人が涼音に告白した時は目の前が真っ暗になったが、今は二人が並んでる姿を見てもあまり心は痛まない。
……弧之善様のおかげなのかな。
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