罰恋リフレイン

「私もう行くね。部活中に本当にごめんなさい……」

「いや……うん」

「それじゃ……」

私は夏城くんに背を向けて調理室に戻る廊下を歩いた。

夏城くんの連絡先は聞けた。それはとっても嬉しいのに、夏城くんはほとんど話してくれなかった。

緊張してるのかな? それとも部活を邪魔した私に怒ってる?

誰かと付き合ったらもっと毎日が楽しいものだと思っていた。でも付き合い始めたばかりってこんなものなのだろうか。



◇◇◇◇◇



夏城くんからは一度もメッセージが来ない。それどころか学校でも簡単な挨拶以外の会話が全くない。
クッキー食べてくれたかな。やっぱり私に怒っているの? 付き合っていることを秘密にしてって言ったから避けてるのかな?

学校に行く前にコンビニに寄って週刊の少年マンガ雑誌を買った。月曜日の朝にコンビニに寄って休み時間に香菜と読むのが習慣になっていた。
数年前から連載されているマンガにハマってから毎週欠かさず購読している。単行本も発売日に買って数か月前から始まったアニメも楽しみに見ている。

昼休みに机の上にマンガを広げて、先に好きなマンガの話だけをチェックする。新選組をモチーフにしたギャグバトルマンガを必ず一番初めに読むのだ。

「はぁー……今週もヤバい……」

推しキャラの登場回数が多いことが嬉しくて溜め息をつくと香菜が私の手からマンガを取った。

「あ、まだ読んでるのに……」

「薫はしばらく土方に悶えてるんだから、その間に私が他のを読みまーす」

私が買ったのにと文句を言おうとすると「それ今週号?」と夏城くんが話しかけてきた。

「そうだよ」

夏城くんから話しかけてくれたことが嬉しくてつい口元が緩む。

< 20 / 105 >

この作品をシェア

pagetop