エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

 * * *


「こんにちは! 野原食堂です。ご注文の品をお届けに来ました!」


 久々に医局の前に立って声を掛ければ、今日も中から近衛先生の同期の坂下先生が顔を出した。


「おっ、百合ちゃんじゃん。久しぶり」

「はい、お久しぶりです。今日もご注文くださり、ありがとうございます!」


 たった今持ってきたばかりの品物を渡しながら、私はついソワソワと近衛先生の姿を探してしまう。


「そういえば透と百合ちゃん、その後、何か進展あったの?」

「えっ⁉」

「いや、最近、やけに透の機嫌がいいからさ。仕事中は相変わらずポーカーフェイスのままだけど、ふいに見せる表情が前より柔らかくなったっていうか」


 思わず頬が熱くなったのは、全く同じことを私も今日、野原食堂の常連さんに言われたからだ。

『百合ちゃん、なんか機嫌いいねぇ。最近いつもニコニコしてるし』

 まさか、近衛先生も周りに同じように思われていたなんて……。

 なんとなく、胸の奥がくすぐったい。

 
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