白いジャージ3 ~先生とバージンロード~

大事な時間



会社に行くことが嫌だったわけじゃない。


でも、数日休んだ間に学生気分に戻ってしまったのかも知れない。



満員電車の中で、めまいと吐き気に襲われ、電車から降りた。


手は驚くほど濡れていて、顔からは冷や汗がポタポタと落ちる。


転がるようにベンチに寝転び、駅員さんに助けられた。





「直・・・大丈夫?」



迎えに来てくれたお母さんの胸でどうしてだかわからないけど号泣した。




「お母さん・・・お母さん・・・」



お母さんは、黙って私の背中を撫でてくれた。



『大人』と呼ばれる年齢になったからといって、私は大人になれたわけじゃない。


まだまだ子供なんだと感じた。



お母さんに、頑張ったねって褒めてもらいたくて一生懸命組立体操をしていた小学校の頃の私のまま。




「直、ちょっと疲れたのね。会社で働き始めて、初めてのことばっかりで疲れただけよ」



お母さんは、駅員さんにお礼を言い、私を車に乗せた。



「どこ行くの?」


お母さんは滅多に運転しない車を緊張気味に運転しながら、ある場所へ向かっていた。








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