肉食系男子に、挟まれて【完結】

「ほら、山本先生っ」

「……」


その名前が出た途端、私の顔があからさまに歪んだ。


辻先生は何か勘違いをしているかもしれない。
山本先生の存在は私にとって、迷惑でしかなくて、被害しか与えていないと。


何か、ウキウキしていてピンクな想像しているかもしれないけれど。
私と彼は初対面。


いくらお隣さんといえど、初対面。


あ、そういえば。
私は自分のカバンを持つと膝の上に置いた。


朝に粗品渡されて、カバンに突っ込んだままだった。すっかり忘れていた。


それを出して、丁寧に包装を?がして中を確認すると花柄の可愛いタオルだった。
思っていたよりも可愛い。使おう。
あの山本先生がこれを選んだのかと思ったら少し笑えてくるけれど。



「タオル？　どしたの？」


そう言いながら、辻先生が覗き込んで来る。


「あ、今朝お隣さんから貰って」

「へえ。男？」

「……男だと何ですか」

「いや、いい男なら安西ちゃんの家に遊びに行きたいなと」

「全然いい男じゃないですよ」


ハッキリキッパリそう言うと、


「へ～え？」


背後から低い声がして、肩がビクッとなった。