お日さまみたいな温かい君に包まれて
11 君を好きになった日
数日後。



「あっちぃ~っ。もうネクタイ取っていいかなぁ」

「先生に見られたら怒られそうだから、一応つけときなよ」

「だよなぁ~」



ワイシャツの第一ボタンをひとつ外して、パタパタと中に風を送り込む。


金曜日の午後12時。

学校終わりにコンビニで昼食を購入して、今、雪塚さんと一緒に駅のホームで電車を待っている。



「清水くん」

「ん?」

「お金出させちゃってごめんね」

「いいって! 内緒にしてた俺が悪いんだから!」



「始業式に返すね」と雪塚さんは申し訳なさそうに眉尻を下げた。

放課後にどこか出かけようと誘ったのだけど、行き先を内緒にしたせいでお金が足りなくなってしまって貸したのだ。
といっても100円だけど。

次からサプライズする時は気をつけよう。



「それで、どこ行くの?」

「んー、まだ内緒」

「ええ~っ、ケチ~」

「雪塚さんに言われたくないよ」



そう答えると、ちょっぴり恥ずかしそうに唇を噛みしめてそっぽを向かれてしまった。


さっきコンビニで昼飯を選んでた時、値段と腹持ちがいいかを気にしてたんだよね。

節約家なんだけど、この時ばかりはケチに見えちゃった。ごめんね。
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