お日さまみたいな温かい君に包まれて
「気になるんだったら、気分転換に遊びに誘ってあげるといいと思う」

「お兄ちゃんはいいの? 友達なのに」

「……うん。女同士のほうが羽伸ばせると思うから」



誘い方が下手くそすぎて、彼女を警戒させてしまった今の自分に、遊びに誘う勇気なんてない。

まだ謝ってもいないのに、また誘ったら余計警戒されてしまう恐れがある。

それだと花火大会デートも危うくなるから、ここは慎重にいかねーと。



「私よりも、お兄ちゃんとのほうが羽を伸ばせると思うけど。だって先輩……」



と言いかけた瞬間、実玖はハッと口を押さえた。



「だってって……何か理由でもあんの?」

「あっ、その……雪塚先輩、私と話す時はお兄ちゃんのこと下の名前で呼んでるから……」



何を言い出すのかと思ったら。

そりゃそうだろ、名字呼びだったらダブル清水になっちゃうし。別に特別なことでもない。



「なんだそれ、理由になってねーぞ」

「その……私が言いたいのは、先輩はお兄ちゃんともっと仲良くなりたいって思ってるってことだよ! お兄ちゃんの話してる時、すごく嬉しそうな顔してたから!」



立ち上がってガシッと肩を掴んできた実玖。

嬉しそうな顔、ねぇ……。



「……わかった。誘ってみる」



すると、実玖の頬がふにゃっと緩んだ。


そう言われたら、何もしないわけにはいかないっしょ。

よし、雪塚さんを元気づけるために、作戦を立てますか!
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