お日さまみたいな温かい君に包まれて
互いに卵焼きを交換し合い、口に運んだ。


おっ、これはほんのり甘い味つけだ。
そしてとてもふわふわしている。

甘い卵焼きは幼稚園の頃に食べたっきりだから、なんか懐かしい。



「美味しい! 雪塚さんのお母さん、家庭科得意だったんじゃない?」

「うーん、聞いたことないからわかんないや。ありがとう。清水くんちのもすごく美味しいよ」

「えへへ、ありがとう」



卵焼きに向けられた褒め言葉だけど、自分が褒められたみたいで心が踊る。

褒められてるのは俺じゃなくて、うちのお母さんなんだけどね。



「ねぇ、雪塚さんのお母さんってどんな人?」



卵焼きを味わう彼女に尋ねてみた。


東馬のお母さんには何度か会ったことがあるけど、雪塚さんのお母さんには会ったことがない。

仲良しな実玖でさえも、家に遊びに行ったことがないから、顔を合わせたことがないんだって。


今思えば、1年の頃から仲良しなのに、あまり家族の話をしたことがなかった。

弟がいるってのも、この間初めて知ったし。



「あー……口うるさいかな」



少し引きつった笑顔。

表情から、相当うるさいんだろうなと読み取れた。
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