ONLYYOU~赤ちゃんのパパは脳外科医、愛してはいけない人を愛してしまいました。~
「だから…何だよ!?自分の結婚相手だ…俺は父の言いなりになって結婚はしない」

「…そっか…」

クロの両親は中学生の頃は事故で亡くなった。
引き取り手のなかった彼は十八歳まで、施設で過ごした。
家族が居ないのは寂しいかもしれないが、クロには何の柵もない。
その分、クロは必死だった。
医者としての腕を磨き、同時進行で医局内でも出世できるように手を打っていた。
俺にはその必死さはなかった。
父親が院長だから・・・
でも、ある意味…何の柵もない自由なクロが羨ましい。
結婚相手ですら両親から口を挟まれ、勝手に相手を決められてしまう俺。



「クロが羨ましいよ…」
俺は心の声を口に出した。
「…俺は全てを持つカズが羨ましいぞ」
クロもまた俺にそう返して来た。

「お互い様か…」
全てを持つ俺か・・・

元々この大学の創立には伊集院家が深く関わっていた。
父さん達の言う通りにすれば…俺の人生は安泰かもしれない。



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