白+紅=蒼
憂鬱な雨
私たちが入学して初めての梅雨。





玄関を出て大きな溜め息をつく。





それは隣にいる半身も同じようだ。





雷を伴う雨の日は私も紅もとても静かになる。





それは母親を亡くした日の事を思い出すから。





泣かない紅を見て私も泣かない。




私が泣いてしまうと兄である紅はもっと泣けないから。





気付けば私たちは涙を忘れてしまったのかもしれない。





そっと無意識に手を繋ぐ。
お互いが側に居ることを感じるために。





「あーぁ。なんでこの世に雨なんて存在するんだろう…」

ぼーと教室の机から窓の景色を眺めて呟く。




雨の日は紅も自分の席に座ってぼーとしている。





「そんなこと言ったら私たちは生きていけないでしょ」

ぱこっと筆箱で私の頭を軽く叩く美乃。





美乃も廉も私と紅の気持ちを痛いほど理解してくれているから、こういう日は静かに側に居てくれる。





私たち双子だけじゃないよと安心させてくれるのだ。
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