卒業後もまた君と


「もう1枚撮ろーぜ」


彼からの思ってもみない誘いに動揺しつつも、

「うん!」

と、どもらず冷静に返せた私を自分で褒めてあげたい。


───カシャッ


うん、と1つ満足そうに頷いた彼は私に『写真は後で送っとく』とだけ言って仲の良い男の子に呼ばれて行ってしまった。

残された私。
だけど、大満足の私。

だって、2枚も撮れるなんて思わなかった。
しかも、向こうから言ってくれたなんて、夢でも見てるんじゃないかとさえ思う。

高校最後の日にこんな幸せなことが起きるとは思ってもみなくて、たった一言、勇気を出して良かったと、心の底からそう思った。


「ねぇ!ツーショット撮れたよ、しかも2枚!」

友達のところに戻るやいなや、ちょっとドヤ顔で報告した。

好きな人と2人きり、2枚。
右手で二本指を立てて突き出した。
"2"づくし。

これだけ幸せなことを冷静に報告するのはかなりの至難の業だと思うんだ。

さっきから浮き足立って仕方がない。
調子に乗るな、と怒られても私はきっと変わらない。今だけは許して欲しい。

「よくやった!あとは告白だけなんだけど、あんたにしては上出来だし、大学に入ってからだな!」

「そうだね、ちょっとこの子にはハードルが高いかもね」

1人にはバシバシと背中を結構強めに叩かれ、もう1人にはくすりと小馬鹿にされた。

事実を言われてむっとなるのは人間の性なのかな……?



< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop