Dying music〜音楽を染め上げろ〜












…ーーーーーーーーーー…










「目ぇ覚めた?」







コード…?何でいるの。









周りを見渡す。


ここどこ。…あ。そうだ、Midnight行こうとしてたんだ。あれ、降りる駅…




「…どこ。」

「俺の家。急にフラッて倒れるもんだからさ。」


コードの家?え、倒れたって何?ん?ダメだ、コードに会ったあとからの記憶が曖昧
気づいたらここ。マジ?俺運ばれた系かな。


  



「………すみません。」






謝ることしかできない。何があったにしろ、迷惑かけたのに変わりはない。




「いいよ。あと、通知たくさん来てるみたいだからちゃんといつ帰るのか連絡しなよ。」



スマホを確認するとお母さんと怜斗たちから大量のLINEが来ていた。





今は、メッセージーつでも目に入れたく
ない。申し訳ないけれど、顔も思い出したくない。  






「……帰りたくない…。」


小さな声でそう呟いた。


「お前それ本気で言ってんの?」


コードは少し眉間にシワをよせた。


「今は…誰の顔も見たくない。」







倒れて運ばれて毛布まで掛けてもらって。この期に及んでまだわがまま言うのかって自分でもそう思うよ。



でも、ぽっかり心に穴が開いていて、寂しい。

このまま帰って一人になりたくない。

誰か、そばにいてほしい。

そんなわがまま。








「風邪ひくからまずはシャワー浴びてきな。服は貸してあげるから。」

「…ほんとに、すみません…」

「もう謝んな。今日が親いなくてよかったよ。家に上げてたらなんて言われてたか分かんない(笑)」














シャワーのおかげか、だんだんといつもの冷静さを取り戻してきた。







掴みかかって、なんかお互いに色々言い合って。ひどい暴言を吐いたことは覚えている。そっから「お前が Cyanなんだろ」…か。




日付と時間、曲名が書かれた紙ってあのスケジュールリストしかないな。完全に俺のミス。あのとき、やっぱり部屋に入れなきゃよかった。



それに、あの感じだと他の2人は知らなかったっぽいな。恭弥だけが知っていて二人はあの場で初めて知った、ってところか。











…もう誰かに言ったかな。

来週には広まっちゃったりしているのかな。

みんなに笑われるのかな。

せっかくここまでしたのに。










髪を乾かしてリビングに行くとコードがご飯を作っている。




「俺も何か手伝う。」

「じゃあ飲み物用意して。冷蔵庫にお茶あるから。」



はいっとコップを渡される。準備しながら手際よく盛り付けるコードをじっと見た。


俺が今メンタル死んでるからなのかな、コードがいつもより大人びて見えてしまう。






「何見てんの?今日はいつも以上にガキっぽいねwww」



視線に気づいたコードが笑ってくる。…否定する元気はない。




料理をテーブルに運んで、ドレッシングを用意して椅子に座る。




「はい召し上がれ。」




目の前にはパスタと色とりどりのサラダ、それからわかめのスープ。暖かい匂いに心がほっとする。


「.....いただきます。」



無言でパスタを口に入れる。ドレッシングたっぷりのサラダを頬張って、スープで流し込む。



おいしい。暖かい。おいしい。



「スープしょっぱくなかった?」

「はい。おいしいです。」

「よかったー。味付けミスったと思ってたから。」








ちょこちょこ喋りながら食事を進める。



















「…それで何があったの?」




食べ終わったところでコードが聞いてきた。

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