泣きたい訳じゃない。
衝撃の真実
私は、土曜日の朝、兄の家に向かっている。

真美さんとも両親を連れて来ると約束していたし、両親は、私が行くならと兄の家に行くのを了承したから仕方がない。

改札を出ると二人が並んで立っていて、私に気付くと母が手を振った。

「久しぶりね。莉奈は元気にしてた?」

「うん、元気だよ。お母さん達も元気そうね。お兄ちゃんが可愛い孫の誕生日に旅行に行ったって拗ねてたわよ。」

「だって、真美さんのご両親もご一緒なんて、お互い気を遣うだけじゃない。」

「そんな事だと思った。今日は私達だけみたいだから『早く帰る。』なんて言わないでね。」

「真美さんも不思議な人ね。私達を招待したいなんて。」

お互いを気遣っているだけなんだけど、何が正解かなんて分からない。

「真美さんは未だに気にしてるのよ、お兄ちゃんが婿養子になったこと。」

「私達は、雅治が幸せならそれでいいのに。莉奈は今、幸せ?」

思わぬところで、矛先が私に向いた。

「多分、幸せ。」

拓海の顔が浮かんだ。
幸せの定義は決められないけど、私は拓海の存在が自分を支えてくれているのだから幸せなはずだ。
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