契約期間限定の恋。
 私のような取り繕ったバリキャリ風情とは違う、本物のキャリアウーマンが足元に置いた質のいいバッグを持ち上げ商談スペースに消えていく。
 ピンと伸びた背筋、歩くだけでサラリと流れる艶やかな髪、受付に残された甘い香り。
 受け取った名刺には「ステラプロモーション 広報営業部一課主任」とある。
 いつの間にか肩書きまで華やかになっていた。
 ステラの社員はこれまでにも何度か訪ねてきたことがあるが、旧友が来たのは初めてのことだ。

「友達?」
「えぇ、大学時代の友人です」
「ステラなんて超大手じゃない」

 それに比べて貴女は、とか言いたいのだろう。そっくりそのままお返ししてやりたいところだが、ぐっと飲み込んで頂戴した名刺をファリングした。
 美川さんも千紗も、早く帰ってくれればいい。
 どす黒い気持ちが渦巻くと同時にこんな真昼間から浩介の身体が恋しくなって、こっそりカウンターの下で今夜も家に来れないかと、絶賛商談中の彼に遠慮なくメッセージを送った。
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