ふたつの愛し方
Episode:7
久々の休みに、英介の朝ご飯を用意して食べさせて。

行ってらっしゃい、と英介の部屋の玄関で見送る。


明け方近くまで抱き合っていたおかげで、身体はもの凄く怠いけれど、心は今までよりも満たされていた。


洗濯しといて、と言っていただけあって溜まっている洗濯物に取り掛かる。

洗濯機に入れながら、1枚のTシャツを胸に抱き締めて、大好きな匂いを噛み締めると、英介の側にいるような気分になれる。

その時が来たら、Tシャツの1枚くらいは貰おう。

同じフレグランスの柔軟剤を使おう。

洗濯~乾燥までしてくれるコースにセットして一旦、自分の部屋に帰ってからシャワーを浴びる。

最近、ボディーソープも英介と同じ物に替えた。

自分でも思う。

重症だって。

だけど、止められない。


また今日も、いつでも出かけられる洋服に着替えて化粧をして、自分の部屋の掃除と洗濯をする。

そして、また英介の部屋に戻ってから終わった洗濯物を畳んでいると、、、母からの着信。

電話を受けて、スピーカーに切り替える。



『朱希、帰って来たなら顔くらい出しなさいよ!お父さんも心配してるわ!』


「ごめんね。忙しくて……って用事は?」


『……この前からね、右肩と背中が痛くてね……整骨院に行っても湿布貼っても治らないから、朱希の病院で診て貰おうと思ってね……来ちゃった!』


「来ちゃった?えっ……?今、どこ?」


『病院の喫茶店よ!』


溜め息をついて、すぐに行く、と電話を切って、慌てて英介の洗濯物をリビングのソファーに置いて、飛び出して。

自分の部屋に行って、鞄を持って病院へ急がなきゃ!


病院に着いて直ぐに、喫茶店より先に受付で。


「手術室看護師の中村です。高橋先生か北河先生に取り次ぎをお願いします!」


内線で呼び出してもらうと、英介が来てくれた。


どうした?

少し息が上がっているのは、急いで来てくれたんだろう。

母が体調不良で病院に来ている事を伝えて、喫茶店に向かう。


俊也は?

回診中で、先に行ってくれってさ。

そっか、急にごめんね。

おばさんの事なら俺も心配だから謝るな。

ありがとう。
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