ふたつの愛し方
Episode:2
同じマンションに入るとーーー。


「どうする?」


英介が腰を抱いて、エレベーターに歩きながら訊ねてくる。

このまま部屋に帰るか、どっちかの部屋に行くか、の誘い。

私の答えなんて……決まってる。


「英介の部屋に……行きたい」


エレベーターに乗ってすぐに答えると頷いた英介は、自分の部屋の階のボタンを押した。


部屋に入るなり、英介に腰を抱かれたまま唇を塞がれて。

深くなるにつれて、立って居られない私の身体は、シューズクロークの扉に押し付けられる。


慌てて英介の肩を叩くと唇を離して、

なんだよ?

不満そうな英介に、なんだよじゃないよ、と。


「……ここじゃ……いや……」


「わがままだな……」


私のパンプスを脱がせながら呟いた英介は、自分もスニーカーを脱いで、私の身体を抱き上げた。


ベッドに降ろすと、英介はシャツを脱ぎ捨てて、中に着ていたTシャツも脱ぎ捨てて、私の身体に跨がって、

朱希が戻って来てから、まだ抱いてない。


「漸く……抱ける。今日は優しくしてやれねぇ……覚悟しろ」


耳元で囁かれて、吐息が首筋にかかって、甘い痺れが全身を伝う。


私の答えなんて聴かなくても、お見通しだとばかりに唇が重なる。

舌を絡ませながら、私の敏感な場所を知り尽くした手に、指先に翻弄されて激しく深く英介に抱かれる。


屹立したそれを口に含んで舐め上げる。


「……朱希……もういいっ……早く繋がりたい……」


アレを私に渡すのは、着けてくれって意味。


私の中心に押し当てて、腰をグッと落として自ら敏感な場所に当たるように、腰を動かして、唇を重ねて舌を絡ませる。


英介にも下から突き上げられ、奥に当たる度に、胸を強く揉まれたり、先端に指先が当たるだけで女の声が漏れる。

何度も絶頂の階段を一気に駆け上がる。


「……今日は……もう……我慢できない………」


吐息交じりの英介の言葉に、大きく頷くと腰を掴んで、深くまで押し込まれて、突き上げられて、英介とほぼ同時に達した。


お互いの荒い息が、暗くて静かな部屋にこだましている。


「はぁ……やっぱり……最高だな……朱希の身体」


息が落ち着いてから、裸のまま私を抱き締めて、英介の低い甘い声が耳元を掠めて。

私も………最高。


「……いつも以上に感じてただろ?」


「半年ぶりだよ……」


「そうだな……まだ足りねぇ……」


私もなんだけど、明日は?

冷静に、英介の瞳を見上げて訊いてみると。

夜勤、と。

だったら……もっと抱いてよ?

自分でも驚くくらいの甘い声で言っていた。


「朱希も夜勤か?」


大きく頷くと、唇が重なる。

唇が腫れるよってくらいのキスをして、愉しくて止められなくなるようなキスをして、お互いの身体を散々弄び、繋がって戯れる。


疲れ果てて眠りについて、目が覚めると英介にしっかりと、抱き締められていた。


相変わらず無駄なものが付いていない、英介の素肌は気持ち良くて、堪らず頬を擦り寄せていた。
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