燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 もう顔が熱くて、心臓もバクバクいってて、なにがなんだか分からなかった。
 一体、どれだけ普段からいちゃついてたんだろう……。

 どれだけ!
 ど・れ・だ・け!

 その記憶がすっぽりないなんて怖い。
 今更ながら、記憶がないことが不安に思えてきたのだ。



 はぁ、とため息をつき、病室の中の自分のベッド横を見る。
 母が届けてくれたスマホが目に入り、なんとなくそれを手に取ってロック解除してみると、そこにはメモ帳が開かれた状態になっていた。

「……なにこれ」

 私はそこに表示された画面を見つめて、つぶやく。そこには……。

『おもいだすな』

とだけ綴られていたのだ。


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