燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 しかし、親がどうしても私と天馬先生と結婚させたいと言い出し、それをなぜか、天馬先生が受けてしまったのだ。最初聞いたときは衝撃のあまり、吐き気を催したほどだ。天馬先生は、うちの親に弱みでも握られているのだろうか……。

 それはさておき、私自身はというと、親が決めた婚約者の立場から自分勝手に降りるわけにもいかず、あわよくば、『天馬先生からこの婚約を断ってはくれないかしら』と日々模索している最中である。



 そして、そんな私たちが会うのは、月一回のカフェデート。もちろん、手もつながないし、キスだってしない。飲みに行くことすらしない。

 入籍をのらりくらりとかわし続けて約3年。なかなか天馬先生がお断りしてくれないので、相当、天馬先生は野心家で、うちの病院長になりたいのだろう、と踏んだ私は、

「もちろん一条先生との間に『大人の関係』があったとしても、気にしないでください。私もそのお二人に関することは何があっても気にしないですからお好きなように」

というスタンスに切り替えることにした。


 ただ、相手が一条先生以外だったらイヤだなぁ、というのは本音だが。
 そう。あくまで私は『天馬×一条』推しなのだ。あんな素敵な女性はこの世にいないし、この2人には運命めいたものを感じる。

< 5 / 350 >

この作品をシェア

pagetop