燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 また何度もキスされて、次の瞬間、ぬるりとした感触とともに先生の舌が口内に入り込んでくる。驚いて身体を離そうとした私を許さないと言うように、先生は私の頭の後ろをもって、そのままその長い長い溺れるようなキスをつづけた。


 何秒それをしていたのだろう。完全に頭が、呆然となった時、先生はそっと唇を離す。
 私は、な、とか、え、とか、言葉にならない声を出したあと、

「『もう少ししてもいい?』って、聞いた意味ありましたか⁉」

と真っ赤になって叫んだ。


 先生は額をくっつけてくると、まっすぐそのまま私の目を見て、

「いいって顔、してたから。違った?」

と意地悪く笑う。


 うぅ。なにこれ。
 それに先生、また違った顔してる。

 これ、男の人の顔だ……。
 恥ずかしいけど、かっこいい。ずっと見ていたくなる。

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