春永すぎて何が悪い?
その店内に足を踏み入れた時、分かりやすく龍樹さんが目を輝かせる。
さっきのお店とは全然違う。

「ああ、いいねえ。いいね、いいねえ。」

メンズライクな雰囲気だとしっくり来るらしい。

「こういう無骨なの好きなんだよねえ。」

黒レザーのソファーを撫でる。

「似合いますね。」
「ほんと?似合う?」

すごく嬉しそうに笑う。

ソファーからフワッと離れて、次々と「こういうのも好き」と見て回る。

その目が子どもみたいで、無邪気で、胸にたくさん刺さってくる。

「俺、こういうのなら分かるかも!こういうのならイケんのよ、俺!」

そう言ってキラキラした笑顔で私を見上げてきた。

ああ、すごく好き。

「食器とかはちょっと分かんないけど、家具ならイケるかも、俺。」

「うんうん、いいねいいね。」と独り言のように続ける。
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