春永すぎて何が悪い?
飲み会
2日間の講習が終わる。

自分の技量の追いつかなさと、他の同期のセンスの良さを見せつけられた講習だった。

同期の及川くんは今度コンテストに出るらしい。
かなり期待されてるのが伝わってくる。

2年前にオープンさせたばかりの新しい店舗でトップスタイリストの下でトレーニング中だ。
顧客も相当ついてるらしい。

私が荷物をまとめていると、及川くんがフラリと近づいてきた。

「おつかれ。」
「疲れたねー。」

同期と言っても店舗が違うから普段全然話すことはない。

「同期で今日飲みに行かない?って話あるんだけど、玉手さん、どう?」

すごく優しい口調。
このソフトな人柄が女性客からも人気あるのが分かる。

彼の作るショートヘアは大人気だ。

顧客の中にはモデルの子も何人かいる。

「行くー。みんなと会うの久しぶりだし。」

そう答えると予想外にも可愛く「やった」と言って笑顔を見せてくれた。
ヒゲ生やしてるくせに。

「じゃあ今日いっぱい話そうよ。」

フワッとそんなことを言えちゃうんだ。

モテるんだろうなー。
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