Livre magic〜魔法使いの告白〜
止まっていたはずの涙が、またあふれてくる。泣くな、泣くなと思えば思うほど、涙というものはあふれてくる。

あまりにも悲しくて、痛くて、苦しくて、辛くて、もう何もかもどうでもいい。オズワルドさんの言う通り、僕に幸せになるという運命は最初から与えられていなかったみたいだ。幸せになれたと思ったら、呆気なく足場を崩されて、傷付けられて、地の底に叩き付けられる。そして、突き落とした人間に嘲笑されるんだ。

もし、この場にカッターナイフが落ちていたら、僕は迷うことなく自分の手首を切って死ぬだろう。前世で太宰修也がそうしたように……。でも、ここでは自らの命を断てるようなものは存在しない。

誰かの命を奪う魔法があることは、学生の頃に授業で習った。しかし、その魔法は本の中に出入りする魔法同様、強い力を持った特別な魔法使いたちにしか扱うことが許されない。

「殺して……」

ただ生かされる僕は、顔を手で覆った。
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