嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「キスしたいなぁ」

 思ったことをそのまま口にしてしまった。言葉にすると、急にドキドキしてくる。とてもいけないことをしようとしているみたいだ。誰もいるはずなんてないのに、美琴はこそこそと周囲を見回す。そして、勢いにまかせて礼にちゅっとキスをしてみた。 

 すると、彼が「うん……」と小さくうめいて寝返りをうった。起こしてしまったかと、美琴は焦ったが違うみたいだ。
またすぐに静かな寝息が聞こえてくる。

「……好きです」

 小さな声で美琴は言ってみた。

(起きてるときには、きっと言えないから)

「秋月美琴は御堂礼さんが大好きです」

 礼には一生伝わらないけど、これが美琴の精一杯の告白だった。
 

 


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