寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
そして私達は、2階へと昇って行く。

「小花の部屋を用意させた。」

廊下を歩き、真ん中にあった部屋を、保さんは開けた。

「ここだよ。」

部屋に入った私は、思わずうわぁと声をあげた。


素敵な調度品、豪華な机に椅子、そして隣の部屋には、立派な寝台があった。

「どれも、好きに使っていいからね。」

「はい。」

何だか、背中が真っ直ぐになる感じ。

「しかし、奥様との寝室の部屋を……」

「徳次郎。」

でも、私はそれを聞き逃さなかった。

「この部屋、奥様との部屋なんですか。」

「いいんだ。」

そう言うと保さんは、徳次郎さんがいるのに、私を抱きしめてくれた。

そんな大切な部屋を私に?

嬉しい、ありがとう。保さん。


「では、僕は仕事でちょっと出かけるから。この部屋でゆっくりするといい。夜には戻ってくる。」

「行ってらっしゃいませ。」

ニコッと笑う保さんを見送り、私は椅子に腰かけた。

こんな椅子に座っての生活、初めて。

これからこの部屋で、母みたいに保さんが来るのを、待っているんだわ。
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