寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「さわかさんと、結婚してください。」

保さんの表情が固まった。

「何を言うと思ったら、そんな事か。」

「そんな事じゃありません!」

私は立ち上がると、保さんに正面から迫った。

「あの方、保さんの事を困らせようとして、お仕事に問題を起こしているんです。」

「はあ?」

「本人が言っていたんです。保さんには、自分との結婚が利益になるって。結婚しなかったら、今度何をしでかすか、分かりません!」

「一旦、落ち着いて。小花。」

保さんは私の身体を抱き寄せると、背中を摩ってくれた。

「確かに僕の仕事は、さわか嬢の父上、松永氏の協力がないと、できない仕事だ。だが、松永氏は娘との結婚の事で、仕事に影響を及ぼすような人ではない。」

「現に、影響があるじゃないですか。」

「小花。僕はこの問題が、自分をより高みに持っていってくれると信じている。辛いが、中途半端に終わらせる気はないよ。だから、結婚はしない。」

私は、保さんの首元にしがみついた。

「私、怖いんです。」

「怖い?何が?」

「さわかさんとの結婚を断る事で、保さんがどんな目に遭うのか。」

保さんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「僕を心配してくれるだなんて、小花は僕を愛しているんだな。」

「当たり前です。」

私もぎゅっと、保さんを抱きしめた。
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