朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加

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「…まずい、私も眠たくなってきた。」

俺を起こしにきた筈のそのを、ベッドへと再び誘ってから暫く。
心地いい温度が保たれたシーツの海で微睡み始めている自分を必死で律しているらしい。

「寝れば?」


既にそのを抱き締めていた手に力をより込めて、おでこに軽くキスを落としつつ提案したら、ちょっと身を捩りながら、ふるふると首を横に振る。


「だめです、今日□社に行く予定もあるので。

そうだ。多分インフルエンサーの何名かにも商品のこと先行してSNSに投稿して貰うんですが、


「あーはいはい、朝から仕事の話すんな。

社畜かお前は。」


「依織に言われたくないよ。」


ちょっと口を尖らせて、まあ確かにその通りな返答をしてくるそのを見ていたら、ふと軽い笑みが口元に乗った。


「どうしたの?」

「お前が退職届出しに行ったの迎えに行った日の夜、この部屋で徐にパソコン開いて仕事し始めたの思い出した。」

「…なんで掘り返すの。」

あんなにいつも同じ屋根の下で2人で仕事をしてきたくせに、あの日、初めて夜を一緒に過ごすことへの緊張からか、急にこの女の挙動の不審さが際立っていた。


揶揄われていると非難を投影して目を細められても、
悪いけど笑みは収まりそうに無い。

「可愛いから。」


一つしかない理由を正直に告げたら「ずるいなあ」と、結局同じように微笑むそのに、もう一度ゆっくりとキスを落とした。


その笑顔を初めて見た時、(ほの)かに感じた筈の気持ちは、案外、心に深く色を刻んでとっくに消えないものになっていたのだと、自覚している。




笑顔に、ほのめく



fin.

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