丸重城の人々~前編~
なんとか柚希に水を飲ませ、再びソファーに横にする。
「はぁー疲れた…」
「お疲れ、大」
「それにしても凄かったな!姫」
「いいなぁ~兄貴!」
「可愛いね、柚希ちゃん。まぁ気をつけなきゃ、ヤバいタイプだね?」
「は?」
「だって、今は大翔がいるから大丈夫だけど、いなかったら………ね!
まだここの連中だけならいいが、他の人間がいたら………」
「………」
「とにかく、姫に酒は厳禁だね!」
「だな」
「そうね」
また丸重城のルールが増えた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お開きになり、それぞれ部屋に戻る。
大翔はゆっくり柚希を寝かせ、柚希の首の下に自分の腕を滑り込ませた。
「うー。まだ酒くせー」
だからといって、離れたくない。
「なんで柚がこんなに好きなんだ、俺は…」

「ん…大翔……」
「柚?ここにいるよ?」
「キス、して?」
柚希の潤んだ目、ほてった身体、甘い声。
全てが大翔の理性を踏み荒らす。
いつもなら、すぐに食らいつくように抱いて寝かせないが、今日は柚希がかなり酔っている。
休ませた方がいい。

「柚、もう寝よ?ずっと傍にいるから…」
「や!キス!!」
「じゃあ一回だけね!」
チュッと軽くする。
「え…これだけ?」
「は?」
「いつもの!!魔法のキス!」
「いや…今日はこれだけね……」
「やだ!!して!」
てか、甘え上戸っつうか、ただのワガママだろ!?これ!
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