丸重城の人々~前編~
「やま、と…もっ、と……もっと…して…」
「くっ…柚……とまんねぇ………」
酔いでほてった身体が、更に二人を興奮させ、煽る。
「あぁ…も…ダメぇ…」
「柚……まだまだだよ…?」

「フフ…幸せ……」
「だな……柚、煽りすぎ…」
腕枕をして、柚希の頭を撫でている大翔。
「大翔」
「ん?」
「背中見せて?」
「背中?いいよ」
一度二人とも起きて、大翔が後ろを向く。
「ねぇ」
「ん?」
「なんで、蜘蛛なの?」
大翔の刺青に触れながら言う。
「蜘蛛ってさ、網に餌を引っかけて食べるだろ?敵も引っかけて殺す」
「うん」
「だから、俺達も敵は絶対に逃がさない、どこまでも追い詰めて離さないって意味で、蜘蛛なの」
「そうなんだ…じゃあ私も、網にかかっちゃったんだね?大翔の網に…」
「だな(笑)」
大翔の背中に額をコツンとくっつける、柚希。
「柚?」
「じゃあ放さないでね?網に引っかけたんだから…」
「もちろん!」
「大翔…」
「ん?」
「眠くなってきた…」
「フフ…キスしろって言ったり、エッチしよって言ったり忙しいな、柚は。
いいよ、腕枕するから…おいで?」
また大翔の腕枕で横になる、二人。
「大翔は…眠く…ないの…?」
目がトロンとして、今にも瞑りそうな柚希。
「眠くない訳じゃねぇけど、大丈夫かな」
「そう…私はダメ……も…」
「あ…寝た……」
優しい顔で見つめる、大翔。
その顔はとても穏やかだ。

でも大翔をはじめ、この丸重城の人達はキレると、
とてつもなく恐ろしい━━━━━━━
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