丸重城の人々~前編~
三階、響子と将大の部屋。
「おはようございます」
「おはよう!」
響子はベットに座り、将大を膝枕している。
「将大ー!朝よ。起きて?」
「んぁ?」
「刺青、すご…」
将大の背中には全体的に大きな登り竜がある。
「あ?」
「あ…ご、ごめんなさい…」
「ちょっと!将大!やめて!市子さん怖がってるわよ!
ごめんね、寝起き悪い人なの…」
「い、いえ…」
「柚希にはここまでないんだけどな……」
「え?」
「あ、ううん。じゃあすぐ行くから」
「はい。お願いします」

大翔と柚希の部屋。
「おはようございます」
ドアを開け、中に入ると━━━━━
二人は抱き締めあって寝ていた。
ベットの下には、下着やパジャマが散らばっている。

「何これ?」
柚希の身体にはあちこちキスマークがあり、市子はなんとも言えない気持ちになった。
「蜘蛛?」
大翔の身体には大きな毒蜘蛛がいた。
刺青だとわかってるのに、それだけで凄まじい恐怖を感じる。
「てことは、中也さんと玄さんにもあるってことか…確かに晴生が言ってだけあるかも…?」

【だいたいの人間は、あの毒蜘蛛見るだけでひれ伏す】
と。

「おはようございます。大翔さん。朝ですよ!」
揺すり起こす。
「あ…あー朝か…」
「はい。起きて下さい」
「柚ー。朝だぞー起きろー!」
「ん…もう少しだけ……」
そう言って、大翔の胸にすり寄る柚希。
「フフ…可愛い……柚」
その柚希の頭を撫でる、大翔。
「あの…皆さん、待ってますので……」
「あ?わかってるっつうの!行くから、みんなに待つように伝えろよ!柚が起きないっつたら、みんな納得するから!」
「え?」
「いいから!行けよ!」
「はい…」

どうゆうことだろう……?
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