ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!

王子と私が手をつないで部屋に駆け込むと、王妃はまだむっつりしていた。


「賑やかね」

「ああ、噂のイーリスですね。母上」

「……」

 
男版王妃がそこにいた。
その存在はもちろん、いくら私でも知っている。

第一王子エイベルが、王妃そっくりな顔でむっつりしている。


「おや、兄上じゃあないですか」

「ふん。ヨハン、お前が領主とはな」

「領地がないだけで、今までだって民をまとめて町を反映させてきましたよ。芸術家は気分屋や気難し屋や気にしいや繊細さんやイッチャッテル~な人とか、いろいろなんですから。手練手管は心得ています」

「母上。財務管理をひとりつけたほうがいいかと」

「もちろんよ」


親子喧嘩と兄弟喧嘩は、もう未知だ。
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