森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ジョージはただ、事実を述べただけだ。そこに悪意なんてない。

 だって、彼は魔獣の恋を応援する立場の人間なのだ。エディが彼の言葉でこんな悪夢をみるようになるなんて、分かるわけがない。

『もちろん、苦しまないように細心の注意を払って仕留めるつもりだ』

 前のエディなら、そう答えたはずだ。
 だけど、今は違う。

(どんな顔をして、ロキースに会えばいい? 今まで僕は、どんな顔でロキースに会っていたっけ?)

 わからない、わからない、わからない。

 会いたくないのに会いたいし、会わせる顔がないのに、顔を見て安心したい。

 グチャグチャの気持ちを隠すように、エディは膝を抱えて丸くなる。

 だけど無情にも、扉の向こうでエグレが告げてくる。

「お嬢様、ロキース様がいらしてますよ」

< 224 / 390 >

この作品をシェア

pagetop