森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

３

　どれくらい、そうしていただろうか。

　赤く染まっていた空は、いつの間にか藍色に染まり始めていた。

　スンスンと鼻をすするエディの背を、ロキースの大きくて温かな手がゆったりと撫でてくれる。

『話が、ある』

　涙のあとが消えたのを見計らうように、ヴィリカスはそう言った。

『エマの、ことだ』

　フサフサの尻尾を悲しげにダランとさせて、ヴィリカスはエマの墓を見つめる。

　その目は、あの日を思い出すように遠いところを見ているようだった。

『己(うぬ)がエマを見つけた時、彼女は既に瀕死の状態だった。命の灯火はすでに、消える寸前だったのだ』