森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 大使館で一台の馬車を借り、御者台にはルーシス、馬車にはリディアとエディが乗り込む。

 ルーシスはリディアと一緒にいたかったみたいだが、エディは不遇の恋人のような哀れな顔をして「せめて二人きりで話をさせて欲しい」と言って譲ってもらったのだ。

「で、これからどうするんだよ? リディア」

「どうしましょうね?」

 満更でもなさそうな様子のリディアに、エディは「そうだよな」と諦めたようにため息を吐いた。

 だって、ジョージは言っていた。

 獣人は、恋した相手の好みドンピシャな姿形を取ると。

 つまり、ルーシスは世界中探したって見つからないかもしれない、リディアの理想の王子様ということなのである。

 元魔獣という恐ろしい事実さえ無視すれば、リディアにとって最高の伴侶と言える。

(しかも、ロスティではある程度の地位も約束されている)
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