森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 トルトルニアのヴィリニュス家といえば、森守として一部の地域では有名だ。

 森守と聞くと大概の人は『森を守る者』だと思うだろう。

 だが、そうではない。
 トルトルニアの森守は、『森から守る者』なのだ。

 トルトルニアのすぐ近くには、魔獣の生息地である魔の森がある。

 昼間でも黄昏時のように薄暗い森は、深い霧と濃い魔素に覆われていて、神秘的でもあり不気味でもあった。

 フラフラと興味本位で近づいてはならない。

 魔の森は恐ろしい魔獣の生息地であり、魔素が満ちた場所である。魔力耐性のない者が入ればあっさりと迷い、惑わされてしまう。

 かつて魔の森で魔獣を狩って生活していたトルトルの民たちは、この森の怖さを十分理解していた。

 だから彼らは村を作る時、魔獣に襲われないように防護柵を作ったのだ。
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