殺戮学園
「真美、何ぼうっとしてるの?

早く逃げるよ」


「う、うん」


真美が理恵の言葉にそう返事をして、また小又兄弟から逃げるために走り出そうとしたとき、子豚のような小柄な男に一人の女子生徒が捕まった。


真美はその衝撃の瞬間を見て、心臓が飛び跳ねた。


その男に捕まった三年二組のツインテールの女の子は、自分の友達、牧野陽子だ。


陽子は子豚のような男に強引に制服を引っ張られると、廊下に仰向けに倒れ込んだ。


そして、そんな絶体絶命の陽子が必死に助けを求めていた。


「助けて、真美!

私、殺される!」


真美は陽子のその言葉でその場から動けなくなっていた。


真美が恐怖に顔を歪めながら目を向けたその先には、複数の死体と二人の殺人鬼、そしてその殺人鬼に捕まっている友達の陽子がいる。


今の状況で陽子を助けることが難しいことは、当然、真美もわかっていた。


でも、それなのに、真美はその場から逃げることができなかった。


陽子が自分の名前を呼んだから。


陽子が助けを求めているから。
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