快晴の空
今日の物語「快晴の空」

とても暑い朝だ。よく晴れた青い空。原爆を落とされた広島の8月6日もこんな雲ひとつない快晴の空だったのだろうか。たくさんの人が命を落とした。原爆だけはどうしても許せない。そんな想いは常にある。ある日、広島に行ってみた。今は廃墟から復興しているこの町で、散歩した。途中、美味そうなラーメン屋があったのでそこでとんこつラーメンを食べた、700円だった。原爆で死んだ人たちも天国ではきっと幸せになっているはずだ。ラーメンも美味しいものも食べ放題、遊び放題だろう。私は天国に想いを馳せる。死ねばいつでも行けるから、死は希望なんだ。死こそゴール。ゴールはした後は好きに自由にラクしていい。今はまだ人生のマラソンの途中なんだ。広島では一匹のネコが私に話しかけてきた。何故かそのネコは原爆の日に生まれて、今まで生きてきたらしい。ネコがしゃべるはずないないし、そんなに長生きするわけないのだが、本当にしゃべりかけてきたのだ。ビックリした。あまりにも。ネコはかわいそうな広島の市民に癒やしを与えてくれと神様に頼まれ、生まれてきたと語った。ネコはある素敵な秘密基地へと案内してくれた。
そこにはある一人のおじさんが座っていた。どうやら、私に用があるらしい。そして、自分が今、どういう状況に置かれているか聞かされた。そうです。普通はネコが話しかけるはずがない。今までの26年間の人生は全て天国での生活だったんだ。今まで夢を見ていたんだ。私はすでに死んでいたんだ。原爆が落とされたあの日に。
ネコは私の使いらしい。そろそろ夢から覚める時だって。でも私は覚めたくなかった。できればあのままずっと夢の世界にいたかった。私が気まぐれで広島に行かなければ、あのままでいられたのに。







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