誰がなんと言おうと砂
誰がなんと言おうと砂
 

 幼稚園の頃、信号機の塗り絵をする時間がありました

 赤、黄、青。みんなが順番に色鉛筆やクレヨンを手に取って塗り絵を完成させていきます

 わたしは何色だったか覚えていなかったので隣のあやちゃんの机を少しだけ覗いたら睨まれ、肘で隠されてしまいました

 何色だったか、私はその日の信号機の塗り絵に自分が何色をあてがったのか今でもよく覚えていません

 提出した時先生に「やえちゃんにはこう見えてるんだね」と頭を撫でられた気がします

 間違っているよとみんなが後ろ指をさし、信号は赤で黄色で青であることが正解なんだと知りました

 その時から少しずつ少しずつ間違えないように気をつけようと思っています

 みんなと違うと生きづらくなってしまうからです

 それは今も変わりません








 でもなんだかそれはわたしが生きづらいわけで



八重(やえ)、学食行こ」

「うん」



 そんな注意を払いながら大きくなったわたしは

 高校生になっていました



< 1 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop