はじめてのカレカノ

高槻先輩のカミングアウト



「じゃあ俺は?」

「もちろん、大切な人ですよ?」

「ねぇ、その大切な人ってさ、なんか傷つくんですけど」

「へ?どうしてでしょうか」

「じゃあ、質問変える。この前のバレンタインに誰かにチョコ渡した?」

「な、なんですか急に。私は大好きな人にしかチョコをあげません。義理だってあげたこと、ない。だから、この前のバレンタインは・・・あっ!」

そうだ、あの日は工事現場のおじさんに助けてくれたお礼としてチョコをあげたんだった。

咄嗟に手で口を覆った。

「おじさんにチョコあげたよね」

「えっ!どうしてそれを先輩が知って・・・るの?!」

待って、待って、待って!

何かが私の中で繋がった。

「おじさんじゃ、ない」
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