光を掴んだその先に。
お嬢は特別なんすよ───と、パチンとウインクしてくるけどあまり可愛くはない。
だってちょび髭だしスキンヘッドだし。
昔はモヒカンだった、なんて前に言っていたけど…。
モヒカンもモヒカンでなぁ……。
そんな俊吾のスマホが鳴って、最初は快く返事をしていたのにだんだん険しい表情へ変わった。
「すぐに行きますっ!!いいっすか那岐さん!!絶対に動いちゃ駄目っすよ!?
出血多量で死んだらどーするんすか…!!」
バッとスマホをしまった俊吾は血相を変えて立ち上がった。
え、出血多量…?怪我したの…?
もしかして銃で撃たれたりしたの…?
青ざめる俊吾の顔を見てしまえば、そんな考察はぜんぶ当たってるはず。
「俊吾!私も行くっ!!」
「駄目っすお嬢…!!場所は戦場っす!!」
「これは組長の孫娘からの命令だよっ!!背いたらクビ切るから!!首!!」
物理的なほうを想像したのか、ひぃぃっと悲鳴を上げた俊吾より先に私は車へ向かった。
当たり前のように助手席へ。
「俺も行きますっ!!」
そんな中、名乗りを上げたひとりの子分。
彼は体術が得意なひとりらしく、俊吾だけでは不安だと思ったのか私たちの車に乗り込もうとしてくる。