光を掴んだその先に。
『もうそろそろ着くぞ』
あれから天鬼組で話し合った結果、絃は施設へ預けられることになった。
もちろん最初は反対した。
反対はしたが、それがいいと納得してしまった自分もいて。
離れたくない、ずっと一緒にいたい。
だけど2度とあんな目に遭わせないためにも。
『ようこそお待ちしておりました』
『はじめまして絃ちゃん』
笑顔で出迎えてくれる園長らしき男、動物のイラストが描かれたエプロン姿の保母。
新しい建物ではないが、そこまで古びてもいない。
広い庭もあって遊具もあって四角や丸に型どられた窓。
そんなものを見つめ、この先どうなるか想像もしていない絃は遊園地にやってきたようにワクワクさせていた。
『とりあえずここに着替えやオモチャが入ってる。他に必要なものがあれば郵送するからよ』
『はい。かしこまりました』
ひまわり園───その施設も天鬼組が裏で支える児童養護団体のひとつだった。
どんどん俺の手から絃が離れて行ってしまいそうで、小さな掌をぎゅっと握った。
そのバッグの中にはいつも一緒に遊んでいたオモチャがたくさん入っている。