光を掴んだその先に。
ハッキング…?
もしかして那岐が私たちの倉庫に来てくれたのって、陽太のおかげだったりする…?
そんな眼差しに気付いて「いえい」とピースサインをしてくる。
「…絃織」
「勝手な真似をしてすみませんでした」
そして那岐はお父さんへ頭を下げた。
言わなくちゃ。
私たちに傷をつけた男を那岐が倒してくれたんだよって。
たった1人で拐われた私を助けてくれたんだよって。
「あのねお父さ───わっ…!」
右手は私、左手は那岐。
引き寄せるように両腕に抱きしめたお父さん。
「…絃織、お前のことだから何となく分かっちまうんだよ」
「おやっさん…俺、降格でも構いません」
きっと私たちがスッキリした顔をしていたから、天鬼組の頭でもあるお父さんならぜんぶお見通しなんだろうなって。
でも降格って……。
「降格!?那岐は私を助けてくれたのに…!」
「俺の軽率な行動が下手したら組にまで迷惑かけてた可能性もあるんだ。…責任は取るつもりです」
「そんなの駄目だよ…!私もう2度と那岐と離れたくないもんっ!!だったら私も降格する…!!」
「…お前は何から何に降格するんだよ」
そんな私たちを黙らせたのは、お父さんの腕に力がこもったことだった。
ぎゅっと抱きしめる腕は震えていて。
「…馬鹿野郎、心配かけさせやがって…。絃織、お前は引きつづき絃を守ってくれ」
那岐は「はい」ではなく。
消えそうな声で、「うん」と言った。