光を掴んだその先に。
こいつが天鬼組に近づいたのだって、たまたまなんかじゃないだろう。
今だって隠してるつもりなんだろうが、隠せてない殺気。
こいつは俺を前にすると必ずそうなる。
だから絃にもあまり近寄らせたくなかったのだ。
「ふっ、あははっ」
「…なにがおかしい」
「仲良くしようよ絃織さん。そのビデオカメラは絃ちゃんがたまたま物置部屋で見つけたらしいから、
観ないの?って背中を押しただけだよ」
そう笑っているが、そいつは微塵も笑ってなどいない。
だから俺も鋭い眼差しを送りつつも胸ぐらを離した。
確信できない疑いはかえって逆効果にしかならない。
そうかもしれない…という疑問は、確かな証拠が無ければ無いのと同じなのだ。
「…お前、妹がいたか」
「……なんで?」
「絃の扱いが上手いからな、そうじゃねえかと思っただけだ」
「そう?普通じゃない?絃ちゃんが馬鹿だから俺に騙されてるだけだよ」
そいつの言葉は俺に「気付いてくれ」と言っているようにしか聞こえない。
「早く気付いてくれ」「そしてすべてを終わらせてくれ」と。
そう聞こえてしまう寂しい声だった。
「天道。…俺はお前のことは昔から嫌いじゃない」
「…なにそれ気持ちわる」
だから俺だって伝えたつもりだ。
伝えた、つもりなのだ。