光を掴んだその先に。




これは言わないでおいたものだった。

きっと言わないほうがいいんだろうなって、あのふたりが一緒に見つけ出せばいいって思って。


絃織さんの左腕にしっかりと付いたブレスレット。



「似合ってんじゃん。…良かったね絃ちゃん」



ずっと頑張って作ってたもんね。

いろんなことを知ったとしても、いろんなものを見ちゃったとしても。


それはぜんぶ俺のせいだってのに、いつも笑いかけてくれたその子。

最初は本当に腹立つなぁって思ってたけど、いつの間にか応援したくもなっちゃって。



「真実の愛……か、」



大切な人との真実の愛を深めたい、なんて意味があるんだよアメジストは。

そんなものを知らなくても目に入ったってことは絃ちゃんセンスあるよ。


そこはお父さんに似なくて良かったねぇ。



「いつか俺にも光は掴めるかなぁ…」



実はもう現れちゃってたりして。

うーん、いちばん近いところで目の前の2人とか?



「───…あ、もしもし桜子ちゃん?無事にくっついたみたいよー、あのふたり。そうだ、今度俺と遊びに行こーよ」



絃織さんのプロポーズ?告白?は変態染みてたけど、まぁいいか今は。


あのふたりはもうとっくに誰にも切れないい“絃”とやらで繋がってるんだから。


今日は使用人にご馳走を作ってもらうよう頼んでおこうっと。

それで絃ちゃんの部屋でドラマ見て、絃織さんにさっきの台詞について詳しく聞こう。



「俺って本当に、……恵まれてる」



友達もできて、ずっと話したかった人とも話せて、ちょっと気になる女の子もできて?


そんなこんなで、明日からも賑やかで楽しい毎日が始まりそうです。


以上、こちら陽太でした───。



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