光を掴んだその先に。




「ねぇ何あれ!」


「高級車?ヤバくない?」


「うわっ、すげー!!ベンツじゃん!!」



だよねだよね……でっすよねっっ!!
こうなるよね分かってた…!!

だってこの人、校門の前に停めちゃうんだもんっ!!



「降りねえのか」


「降りられるかっ!!」



なんでここに停めるの!?

あんなに離れた場所に停めてって言ったのに…!!


登校する生徒たちは皆して1台のベンツを囲んでいる現在…。

こんなので出られるわけないでしょっ!!



「ったく、手間取らせやがって」



チッと舌打ちをされたような気もするけど、男は運転席から降りて太陽の光を浴びた。

途端に下界からは「きゃぁぁぁ~~~~!!!」と、甲高い女子高生の悲鳴に似た何か。



「えっ、芸能人ですか!?」


「イケメンっ!やばぁ~い!!」


「一緒に写真撮ってもらえませんか!?」



そりゃこんなにもスーツが似合う男なんか中々いないもんね…。

よく若くて爽やかなサラリーマンとかは街にありふれてるけど、ぜんぜん違うのだ。

なんていうか、オーラっていうのかな。


そういう声すら気にしない孤高な感じが高嶺の花のようで。



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