光を掴んだその先に。

家族が揃った日





ヒュルルルルル───…。


どこからか吹いてきた北風がスカートを揺らして、短すぎず長すぎない丈から覗く膝小僧の熱を奪ってゆく。



「遅い!そして寒いっ!」



もう20分は待ってるよ私!

門限守ることも毎日の送迎だって言うとおりにしてるのに、迎えに来ないってどーいうこと…!



「お嬢ーーー!!すみません渋滞にはまってしまって…!!」



キキーッ!と、急ブレーキ。

バンッ!ドンッ!


乱暴に開いて閉まった運転席から現れた男は、那岐ではなく俊吾だった。



「それならそうと連絡してくれればいいのに!電車で帰れるしさっ」


「そういうわけにはいきません!それに、運転中は使用禁止っすから!!」


「いや真面目かっ!!なにそのギャップ!!」



ベンツ車から降りてきた男は、冬が近づく季節だというのに相変わらずのアロハシャツにスキンヘッドちょび髭。

それを見た女子生徒たちは肩を落とすかのように帰宅してゆく。



「当分の間はオレがお嬢の送迎になりそうっす」


「え、どうして?那岐は忙しいの?」


「那岐さんはちょっと厄介事に巻き込まれてしまったみたいで…」



俊吾の運転は荒かった。

信号ギリギリで止まるの本当にやめてほしい。



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